
1. 倍率の基準は「広角カメラ=1倍」
iPhoneのカメラアプリで表示される「1×」「2×」「3×」などは、
実は**35mm換算焦点距離ではなく、“広角レンズを基準にした相対倍率”**です。
- iPhone 15 Pro Max の広角レンズ(1倍):焦点距離 24mm(35mm換算)
- 同じ機種の 5倍望遠レンズ:焦点距離 120mm(35mm換算)
つまり「5倍=120mm÷24mm」
この倍率表示は、その機種の広角カメラが何mm換算かによって決まるため、機種が違えば同じ「3倍」でも画角が違います。
例:
- iPhone 15 Pro(3倍望遠)→ 77mm換算
- iPhone 13 Pro(3倍望遠)→ 77mm換算(ほぼ同じ)
- iPhone 7 Plus(2倍望遠)→ 56mm換算(実質中望遠)


2. 光学ズームとデジタルズームの境界
倍率表示の中で「実レンズが切り替わる」部分と、「センサーの一部をクロップして拡大している」部分が混ざっています。
- 光学ズーム域
レンズを切り替え、センサー全域を使う → 高画質 - センサークロップ域(擬似光学ズーム)
高解像度センサーの中央部分だけを使う → 光学的に寄ったのとほぼ同じ画角 - 単なるデジタルズーム
センサーの全画素を使って撮影後、画像をソフト拡大 → 画質劣化
近年は48MPセンサーのクロップを活用して、2倍(48mm換算)などを「光学品質ズーム」として実現しているのがポイント。
肉好きが絶賛するプロ品質のお肉【やまなか家】

3. なぜ2倍ズームが復活したのか
iPhone 14 Pro以降、広角カメラが48MPになり、
中央1,200万画素だけを切り出すと画角がちょうど2倍(約48mm換算)になります。
- 広角 1×(24mm):48MP全域使用
- 2×(48mm):中央1,200万画素のみ使用
→ 光学ズームとほぼ同等の画質で、暗所も強い
昔の2倍(iPhone 7 Plus)は専用望遠レンズでしたが、今の2倍はセンサーのトリックで実現しています。




4. iPhone 15 Pro Maxだけ5倍になる理由
- ペリスコープ望遠を採用
レンズの光路を90度曲げ、筐体内で長い焦点距離を確保 - 小さい筐体の15 Proでは物理的に収まらないため3倍止まり
ちなみに5倍の「120mm換算」という焦点距離は、スマホとしてはかなり長く、ポートレートや月撮影にも強いですが、暗所では弱くなります。




5. 倍率表示の落とし穴
同じ「5倍ズーム」でも、次のような違いがあります。
- 15 Pro Maxの5倍(120mm換算)
→ 光学レンズそのもの - 15 Proの5倍(120mm換算)
→ 3倍望遠(77mm換算)+デジタル拡大
つまり、数値だけ見て機種を比較すると勘違いしやすいです。

6. マニア向け倍率活用法
- ポートレートは2倍 or 3倍が王道
顔の歪みが少なく背景も程よくボケる - 室内イベントは1×+クロップの方が明るい
暗い望遠レンズよりも広角の高感度を活かす - 風景のディテール撮影は48MP+後処理ズーム
後で切り出す方が高画質